原作「第一話 バンド結成秘話」

M3出ます。
ク-12とかげのてりやき です。
架空の5人組バンド「樺太スクリーンショット」の佐々木ぱれっと(ボーカル兼正弦波担当)が寂しくて無人島に行く時に持っていく曲を自ら作り収録する模様を記録したハウスなピアノなミュージックを配布するという設定。


本作品の原作を入手しましたので、随時公開していきます。

第一話 バンド結成秘話

佐々木は激怒した。必ず、窪塚洋介のようなリア充に成らねばならぬと決意した。
佐々木にはバンドがわからぬ。
佐々木は童貞の中学生である。
パソコンを買い、友達から借りたエロゲーをして遊んで暮らして来た。
けれども、「もてない」という自我に対しては人一倍敏感であった。
今日佐々木は家を出発し、バンドを結成した。
佐々木にはリア充の友があった。田中である。
田中がやけに寂しい。のんきな佐々木も不安になってきた。
こんなくだりを一瞬にして考えてしまう程、佐々木は太宰に傾倒していた。
今すぐにでも入水自殺してしまいたい。

「というわけで、俺達5人でバンドを組むことになった」
田中が啖呵を切ってそう話始めた。
バンド名は、樺太スクリーンショットであること、そして、いずれは世界を股にかける
超有名バンドになること、ミスチルのような音楽には傾倒しないこと。
田中はこの3つを高らかに宣言した。

バンドメンバーの老爺はわずか答えた。
「このバンドは解散します。」
「なぜ解散するのだ」
「音楽性が違う、というのですが、誰もそんな音楽性など持っては居りませぬ」
「たくさんの楽曲を作成したのか」
「はい。はじめは、爆発したい!という曲を。それからねとられたという退廃的なボーカロイド曲を。
それから生贄のダンスというボーカロイド曲を。」
「おどろいた。著者は乱心か」
「言うな!」
佐々木は激怒した。これで二度目だ。

そして、バンドメンバーのパートが田中から静かに発表された。
「オンベースを鈴木、ローランドの打ち込み楽器を武田、そして矩形波を中心とした他の楽器を俺田中が行う」
佐々木はドキドキした。
「そして佐々木よ、お前は正弦波をやってもらう」
佐々木は驚愕した。それは佐々木の知らない楽器だからだ。
「ギターは誰もひかないのですか?」
バンドメンバーの吉崎がそう怯えながら答えた。
「たわけ者!ギターなど邪道の楽器じゃ。ロックバンドになってしまう」
佐々木は懐疑的になった。
自分という人間は、実にもてない存在だ。ならば、バンドをやればすこしはもてるのではないかと考えたのだ。
(おれはもてるためにバンドをしたいんだ)
しかし、田中には色々と縁があるのでそんな事間違ってもいえない。
「いいから楽器の練習を始めよう」
そして、俺達はメンバーそれぞれが作詞をしたあの名曲を練習することになったのだ。
「ケーキも残業もあるんだよ」